環境整備で院内クラスター発生を防ぐための2つの方法

感染管理という視点から環境整備を考えていくことができます。

医療環境整備の目的の1つは、環境からのウイルス、細菌の伝播(でんぱ)予防です。新型コロナウイルス流行時にも、病院内でのクラスター発生が問題となりました。院内での感染症クラスター発生を防ぐためには、環境からの感染伝播予防を心がけることが重要です。

看護師が1つめに行えるのは環境表面の清掃の改善です。ある医療グループの調査によれば、病室清掃後の環境表面が清潔だったのは50%未満で、多くの病室表面が微生物などで汚染されたままだったという報告があります。清掃の不備による感染拡大は問題です。清掃を改善するため、チェックリストを作成し、拭く場所、拭き方を看護師すべてで統一しましょう。

2つめにできるのは、清掃評価の視覚的な方法による確認です。蛍光マーカーやATPなどを用いて評価すると不備な点がすぐに分かるため、教育的で改善への取り組みが活発化します。蛍光塗料を用いて確認した病院では、拭き残しが多いのは、オーバーテーブルのレバーと裏側、洗面台の裏側、引き出しやロッカーの取っ手、また点滴架台の持ち手などでした。これらのように目につきにくい場所を拭き忘れないように注意しましょう。

ロンドンのある病院では、清掃担当の看護師と感染担当の看護師が毎月、ラウンドを実施して清掃状況、環境整備を確認しています。さらに、この病院では年に3回、入院経験のある患者さんを交えて、ラウンドを行っています。日本でも、このような取り組みを積極的に採用することができるでしょう。